【セッション・レポート】脱・働く#5 — After・Withコロナ時代のパラレルキャリア論

左からパーソルキャリア中山氏、おとえん相馬氏、ZESDA桜庭氏

人々に「はたらく」を自分のものにする力を(GIVE PEOPLE THE POWER TO OWN THEIR WORK-LIFE.)をミッションに掲げるパーソルキャリア株式会社。 2020年5月21日、起業家や政策担当者など多様なイノベーター達をつなぐ「Venture Café Tokyo」と共同で、トークセッションシリーズ「脱・働く-POWER TO/THE PEOPLE-」の第5回を開催しました。

これからの時代の新しい「はたらき方」はどうあるべきか。旧来の働き方からの脱却「脱・働く」をテーマに掲げ、第5回目は「パラレルキャリア」をキーワードにトークを実施。
ゲストには、第3回セッション「『コネ・カネ・チエ』 の資本主義」にも登壇された桜庭大輔さん、7つのパラレルキャリアを実践し、パラレルキャリアカウンセラーとしても活躍されているおとえんの相馬英子さんのお2人をお迎えし「after・withコロナ時代のパラレルキャリア論」について議論を深めていきます。

◆「脱・働く-POWER TO/THE PEOPLE-」について

不確実性の時代とも称される今。技術進化や人口動態の変化により、あらゆるゲームのルールが加速度的に大きく変わりつつあります。それに伴い、社会保障制度や終身雇用など戦後期に構築された様々なシステムも「制度疲労」に直面しているように思われます。

我々はこの来るべき時代において、どのようにはたらき、生きるべきなのでしょうか?

本シリーズではその考えをもとに、様々なステークホルダーを招きながら皆さんと繰り返し対話の場を持つことを通じて「日本らしい“はたらく“のその先」について議論を深めることを狙いとします。

この記事の内容

1.after・withコロナ時代をどう生き抜いていくか
2.同時・複数の役割が連鎖する「パラレルキャリア」
3.本業×複数のパラレルキャリアでチエ・コネを増幅させる
4.掛け合わせで新たなキャリアが広がる「創育」

モデレーター:脱・働く第5回「after・withコロナ時代のパラレルキャリア論」のセッションです。まず、「脱・働く」とは何かについて、パーソルキャリアの中山さんからご説明していただきます。

中山氏:パーソルキャリアの中山と申します。よろしくお願いします。

パーソルキャリアは「働く」を事業ドメインにして、転職の支援や新卒向けのサービスを提供している会社です。弊社は去年の秋、ミッションを「人々に「はたらく」を自分のものにする力を(GIVE PEOPLE THE POWER TO OWN THEIR WORK-LIFE.)」に再定義しました。昨今、さまざまな領域で「変化が激しい時代」と言われますが、変化があるということは、新しく可能性が広がったり、選択肢が増えたりすることとも言えると思っていて、。ただ変化に振り回されたり、対応するではなく、世の中の人たちが自分たちでその可能性に気づき、やりがいを持ったり、わくわくしたりする状態をつくることに力を尽くしたいという思いを込め、本ミッションを設定しました。

これに共感してくださったのが、こちらにいらっしゃるVenture Café Tokyoのみなさんです。変化の時代、私たちはどんなマインドやスキルを持つことが大事なのか。1年間のセッションを通じ、登壇してくださった方や参加してくださった方と一緒に考えていけたらと思います。

モデレーター:ありがとうございます。第5回目は「after・withコロナ時代のパラレルキャリア論」。ゲストの桜庭さんには4月に1度ご登壇いただき、「コネ・カネ・チエ」という3つの資本を軸をとしてこの時代を生き抜くことが大切だと伺いました。今回は相馬英子さんと共に「パラレルキャリア」についてお話いただきます。では、ここからは桜庭さんにバトンを渡します。よろしくお願いします。

桜庭氏:ありがとうございます。改めまして、NPO法人ZESDA代表の桜庭と申します。今回はZESDA大阪支部長の相馬英子さんに半生を振り返っていただきつつ、どのようにパラレルキャリアを築いてこられたのかをお話ししていただきます。

特にお聞きいただきたいのは、相馬さんがキャリアの中で「どこでどのようなチエとコネを得て、それらをどこでどう使ったか」というところです。Aで得たチエとコネをBに投資して、Bで増やしたチエとコネをさらにCへ投資する……といった形でパラレルキャリアを築いてこられた経緯を、わかりやすくお示しくださると思います。それでは相馬さん、よろしくお願いします。

相馬氏:ただいまご紹介に預かりました、相馬英子と申します。今日は私のパラレルキャリアについてお話しさせていただきます。

トピックは主に3つです。1つ目は私のパラレルキャリアの歩み、2つ目は私のパラレルキャリアの築き方と継続方法について、そして3つ目は、パラレルキャリアを始めたい方に理解していただきたい、パラレルキャリアコンサルティングの価値についてです。

そもそも、私はパラレルキャリアを「複数の役割がひとつながりになって連鎖していくもの」と捉えています。働くことの対価として普通イメージされるのは賃金=カネだと思いますが、チエ(スキルや経験)とコネ(人脈や信頼)もまた、働くことで積み上がっています。そして、これらのチエとコネを循環させることで、私のキャリアもつくられてきています。

働くことで何を対価として得てきたのかをきっちり捉えることは、自己実現を考える上でとても重要です。では、22歳で事務員としてのキャリアをスタートした私が、仕事以外も色々やっている母になるまでの、18年間、私がどのようなカネ・コネ・チエを得てきたのかについてこれからお話していきます。

私は、静岡県の自然豊かな場所でのんびり育ち、18歳で大学入学のために東京に出てきました。卒業後に、銀行系不動産販売会社で営業事務として就職。しかし、体育会系な雰囲気が合わず1年程度で辞めてしまいます。それから福祉関係の会社で事務を経験後、今の会社に転職。金属メーカーの人事部で、採用・給与計算・役員秘書などを経験し、今は営業企画部に移ってマーケティングや製品PRを担当しています。

桜庭氏: 22、23歳で最初に就職した企業が体育会系な雰囲気とのことですが、キャリアの出だしで度胸や胆力が育つような環境を経験したことは、きっと後のキャリアに効いてきたのではないかなという気がしました。

相馬氏:そうですね。荒っぽい空気で、今まで自分がいたところとは別世界でした。ある意味世界が広がった気がします。

プライベートでは2009年に結婚し、千葉県の流山市に引っ越しました。2011年に長女を妊娠し、産休・育休を取得。当時は「保活(保育園に子どもを入園させる活動)」がシビアだったので、出産後5ヶ月で復職しました。ところが、千葉県の流山市から都内に1時間半かけて勤務するのが結構辛くて。育児を通じて地域に目を向け始めたのがこの辺りです。

それから2015年に夫が転勤となり、私は千葉に残ってワンオペ育児を経験。その後、自分も転勤届を出して2016年に大阪に引っ越しました。2017年には次女を出産し、2018年に2度目の育休から復職。現在も大阪に住み、今の会社に勤めています。

桜庭氏:ありがとうございます。ご結婚、ご出産を経て、子育てをきっかけに地域に目を向けるようになり、地元の人とのコミュニケーションが増え、問題意識も育っていったというわけですね。仕事の面でも、人事関係から営業関係の仕事に変わることでご自身の視野が広がったのではと思います。

相馬氏:そうですね、これまでの経験、そして今の仕事は後にご説明する課外活動につながっている部分も多いかと思います。

桜庭氏:前回のセッションで「自分がどの職場・どんな業務で、どんなカネ・コネ・チエを得たかをしっかり棚卸すべき」というお話をしたので、それを前提に相馬さんには整理をしていただいているんですけど。今回のお話で、バラバラだったチエが、経験を重ねるなかで少しずつつながり、広がっていったことがよくわかりますね。

相馬氏:続いて、本業の仕事と並行して行っている課外活動についてお話しします。これまでに行った主な活動は7つです。

1つ目は2013〜15年の「流山市子ども子育て会議(公募委員)」。市の審議会委員を募集していたので、応募してみました。長女の出産後、社会復帰して一息ついたところで、子育てをしながらも通勤が辛くて悩んでいた時期です。ここでのポイントは、チエとコネの獲得。今まで縁遠かった行政の仕組みを前より理解できたのと、地域や行政の方々と出会えたことがとても大きかったです。

2つ目が2014年、「DJチーム おとえん」共同代表での地域活動。1つ目の子ども子育て会議で、市民の方を集めた「タウンミーティング」というイベントを主催していたのですが、そこで出会った方と「地域で音楽が楽しめる場所をつくろう」ということで始めました。

最初は50〜70人規模だったのですが、どんどん大きくなっていって、今ではプロのDJを呼んでフェスを開催したり、企業さんとハロウィンパレードを実施したり、行政のイベントにも参加させていただいたりしています。こちらでは、コネを獲得。今の仕事では絶対に出会えないような方々と出会い、お仕事させていただきました。

3つ目は2014年、流山市「夢ママプロジェクト」参画。流山市の働きたいお母さんたちを支援する行政のプロジェクトから声がかかり、参加しました。ここでは「おとえん」としてDJをさせてもらったり「夢を語るイベント」ということでスポンサーから支援を得たりといったことがありました。ポイントは、コネの投下です。私自身が行政からのバックアップを受けることができ、「おとえん」の活動が地域でも知られるようになりました。

4つ目は2014〜16年、働く女性を応援する「ヒカルエ」事務局。私と同じように働きながら子育てしている方々と集まって、キャリアについてのワークショップを開催しました。ここでのポイントはチエの獲得。コンサルティングスキルや仕事の両立といったマルチタスクをこなすスキルをすでに獲得していたということに気が付いた時期でした。

桜庭氏:子育てや家事を通じて、カネは得られないけれど、マルチタスクがこなせるスキル(チエ)が身についていたこと、そしてそのことに自分で気が付いたこと、というのは非常に重要ですよね。

相馬氏:そうなんです! 次は5つ目、2016年からのパラレルキャリアコンサルティングですね。人事部の業務経験や働く女性のキャリア支援団体での経験を活かし、資格を取りました。ポイントは、チエの獲得。資格を取得したことと、資格で身につけたスキルを使ってコンサルティングの経験をしたことは、ZESDAの業務でも活かしております。

桜庭氏:ありがとうございます。いつも大変お世話になっております。

相馬氏:6つ目は、2018年からNPO法人ZESDA (大阪支部長)での活動を始めました。宇野常寛さんのTwitterでZESDA関連の書籍が紹介されており、地方創生やプロデューサーシップの推進をされていることを知って、興味を持って参加したのがきっかけです。ポイントはチエの獲得と投下。イベント運営のスキルやキャリアコンサルタントの資格で少しはお役に立てているのかなと思います。

桜庭氏:ZESDAのイベント運営において間違いなく役に立っています。イベント慣れしておられて、運営スキルがすごいなと。

相馬氏:いやいや、とんでもないです(笑)。そして、7つ目は、2018年〜のパブリックピアノ部設立。駅などにあるパブリックピアノ・ストリートピアノを弾いたり、ピアノを通じて交流したりする会です。こちらではコネを獲得。今までの流山のつながりだけではなく、ピアノを弾く方とのつながりができました。

桜庭氏:前提として、流山から大阪に引っ越されても、流山での人間関係がまだ生きているのがすごいですよね。移動すると人間関係が切れちゃったりするんですが、相馬さんはその人間関係をちゃんと積み上げてきている。

相馬氏:縁が薄くなってしまった方もいるんですけど、流山を出てより結びつきが強くなった方々もたくさんいて、楽しく交流させていただいています。

ここまでを振り返って思うことは「仕事以外に目を向けたら、『いつのまにか』いろいろやる人になっていた」ということです。「パラレルキャリアをしたい」と思って始めたわけではないんですね。課外活動は、仕事ではできないけれど個人的にやりたかったことができるので、とても充実しています。さらに私のキャリアはコネ・カネ・チエの中でも特にチエとコネの投下と獲得を繰り返して、両方が増えていったことがお分かりいただけたかなと思います。

いろんな経験を紹介し、チエ・コネの投下・獲得を繰り返しているとお伝えしましたが、複数の課外活動が連動して展開した例もありました。最初は本業で得たチエが種になりました。

まず、福祉団体で働いていた際に、イベント運営のノウハウというチエを最初に獲得しました。その経験が子ども子育て会議のイベントで活き、そこから子育て会議ではいろんな人と出会い、コネを獲得。そのコネによってDJイベントを開催し、これまでのチエを投下して、いろんな人と出会ってまたコネを獲得しました。コネの獲得・チエの投下を繰り返していった事例になります。

もう一つ事例をご紹介します。

これは逆に課外活動でのチエが仕事に活きた事例です。地域活動に力を入れていたときに会社で企画担当になり、会社をPRするための新しい販促品を制作することになったのですが、「何か新しいことやれ」という無茶振りがあって(笑)。

そこで、私の事業所がたまたま酒造りが盛んな地域にあることに着目し、その特徴を活かしてオリジナルご当地地酒の製造を行いました。結果、この地酒がお客様とのコミュニケーションの潤滑剤となって、会社や地域のことをより知ってもらうことができたかなと思います。

桜庭氏:これは非常に重要な事例ですね。本業で「何かアイデアないのか」と言われたとしても、急には出てこない。でも、相馬さんのようにパラレルキャリアでいろんな仕事をしていると、自然とチエがつながって、しっかりと本業に活きるっていう。副業と本業がシナジーを起こしながら循環する具体的な事例として素晴らしいと思います。

相馬氏:ありがとうございます。こちらは、これまでのキャリアが積み重なっている様子を表した図です。

これまでの仕事やイベントと、投下したキャパシティの量を大きさで示しています。ベースに家庭があって、仕事があって、他の活動や子育てがくっついているイメージです。

ニコちゃんマークが転機で、結婚や出産を機に仕事の時間が減ったり、それ以外の時間が増えたりしていることがわかります。キャリアを重ねると同じことでも少ない労働で済むので、コストがギュッと凝縮されて、投下できるキャパシティの量が増えるんです。

そして、できあがったのがこちらの経験のポートフォリオ。蜂の巣状に色がついているところが経験で、その周辺に経験によって獲得したスキルが書かれています。

桜庭氏:これは本業なども全部合わせて、現在の相馬さんにどんなスキルがあるのかを俯瞰して分類している図ですね。

相馬氏:はい。大事なのは「こういうスキルがある」と認識するだけでなく「Aの経験で得たスキルが、Bの経験で活きていた」ことに、自分自身が気づくことです。

私は、今までの経験によってキャリアコンサルタントという新たなキャリアをつくることができました。みなさんも今までのいろんなスキルや経験を培ってきていることに気づくと、新たな道がひらけるのではないかと思います。

それから、キャリアの創造。どうやって「おとえん」や「パプリックピアノ部」を思いついていったかといった「掛け合わせ」の部分についてもお話します。

パブリックピアノ部を例に挙げると、「音楽・ピアノ」という興味のある分野があって、さらに、「離れた者同士でもアンサンブルを楽しみたい」とか「パブリックピアノが自分の街にも欲しい」という願望があり、それを何とか解決したいと思っています。

桜庭氏:わかりやすいかけ算ですね。

相馬氏:まずは周りを見渡し、ヒアリングして「これは世の中や個人に求められていそうだ」「これをやったらウケそうだな」というニーズを拾うんです。それに対してオリジナリティのあるサービスを考え、コネとカネとチエを投下してぐるぐる回し続ける。このプロセスで成長できるのかなと思います。

私もたくさんの挫折をしてきましたし、最初に欲しかったものはほとんど得られていませんが、代わりに意図しなかったものが得られたこともあります。全ての経験を前向きにとらえることは、とても重要です。

それから、キャリアをいろいろつくっても続けられなくては意味がないので、持続可能な活動を目指すために俯瞰して、経営者目線で取り組むようにしています。

あとは、家庭を一番大事にしていますね。今は子どもの面倒を夫に見てもらいながら、課外活動に参加しています。お母さんが働いているところを見せられるチャンスなので、子どもと一緒に参加することもありますね。

今まで見ていただいた資料は、ある意味で、私のキャリアシートそのものになっています。これは桜庭さんにキャリアコンサルティングをしていただいて、いつどんなチエとコネを得たのか、使ってきたのか、細かく見直した結果です。経験を整理し、整理したものに意味を与えることによってはじめて、経験がキャリアとして認識されてくるのではないでしょうか。

人は、自分と他人の両方の評価によって自分の社会的な価値を知ります。だからキャリアを棚卸しすると、おのずと自分の強みや進むべき道が見えてくるのだと思います。転職などのご相談があれば、ぜひ本日のスポンサーであるパーソルキャリア様へ、パラレルキャリアのご相談は私、パラレルキャリアコンサルタントの相馬英子までお願いします。

桜庭氏:話し相手がいないと棚卸しはできないぞ、経験はキャリアにならないぞ、ということですよね。とても参考になりました、ありがとうございました。(了)

次回のセッションは脱・働くワークショップ

次回は脱・働く」のスピンオフ企画として 7月7日(火) 19:30–21:30 オンラインにて、2月20日にご登壇いただいた植山氏を改めてお招きし、「不確実な時代に大人が 自己革新し続けるための思考習慣」と題してワークショップを行います。ぜひお気軽にお申し込みください。

イベントページURL: https://power-to-the-people-20200707.peatix.com/

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