Sitemap

COMMUNITY Report #3

IVS2025、未来のエコシステムを描く──主催者が語る挑戦と進化

Press enter or click to view image in full size

Community Reportとは(昨年のものより一部引用)

“Community Report”とは、Venture Café Tokyoがパートナーとして連携している団体、イベントや起業家に焦点を当てて紹介する連載シリーズです。さまざまな視点から革新をリードするパートナーたちを取り上げ、彼らの活動や取り組みを深掘りし、発信します。

今回のCOMMUNITY Reportでは、昨年に引き続きIVSの代表である島川敏明さんにインタビューをさせて頂きました。大学では生物学を専攻され、大阪大学大学院では理化学研究所に所属されながら、分子生物学の研究に従事されていました。

その後、2015年からIVSのボランティアスタッフとしてスタートアップ界との関係を深め、2017年インフィニティベンチャーズLLP(現:Headline Asia)に入社。その後、株式会社17 Media Japan(現:17LIVE株式会社(以下、17(イチナナ)))の日本法人の立ち上げに携わり、最終的に経営企画室室長を担当されました。

現在は、株式会社Headline Japanで投資業務に従事しながら、IVSの代表としてカンファレンスの運営に力を注がれています。

Press enter or click to view image in full size

IVS2025について教えてください(昨年のものより一部引用)

IVS自体は、2007年からスタートしているスタートアップの経営者や投資家向けのカンファレンスで、通常は東京以外のオフサイトで開催しています。過去には、京都や福岡、札幌、コロナ前は台湾やタイのバンコクでも開催しました。そこで経営者の人たちの合宿のような形で2泊3日でみんなが朝から晩まで議論するような場を作っていました。

僕が2020年から代表になりそこから新しいIVSを作るということで活動してきましたが直近に関しては、スタートアップ育成5か年計画になぞらえてスタートアップを増やし起業家を10倍に増やす、ユニコーン企業を10倍に増やすことを目標にしています。

2022年開催までは完全招待制のカンファレンスとして運営をしていましたが、一昨年のIVS2023 KYOTOから招待制を廃止し、投資家や経営者の方のみが参加できるゾーンに加えて、スタートアップ関係人口を増やすためのゾーンを新設しました。

IVSの新たな特徴として、一昨年から海外のプレイヤーの巻き込みに力を入れています。これはユニコーンを作っていくために必要であり、日本のサービスも海外の市場を攻めなければユニコーンになるのは難しいと考えているからです。今後、海外の投資家や起業家をガンガンと呼び込み、海外市場でも戦っていけるような日本のスタートアップを増やしていきたいと思っています。

昨年は「Cross the Boundaries」というテーマを掲げていましたが、今年は「Reshape Japan with Global Minds」というテーマを掲げていると伺いました。このテーマに込めた想いや、設定した背景・意図について教えてください。

今年は、スタートアップ5カ年計画が後半戦に突入したこともあり、その実効性や最終的な成果が問われるフェーズに入ってきたと感じています。

僕自身は、この計画には延長戦があるだろうと考えています。その先の5年間をどのようにデザインしていくかを模索する段階に入っているのではないかと思っています。

また、アメリカではトランプ政権の再登場によって、世界情勢が大きく揺れ動き、経済面にも少なからぬ影響が出てきています。そうしたなかで、日本がグローバルにおいてどのようなポジションを取っていくのかが、今まさに問われているタイミングだと感じています。

そうした背景を踏まえて、私たちとしては、グローバルな視点から見た日本経済、特にスタートアップという領域を中心に、テーマごとにディスカッションの場を設けていきたいと考えたのが今回このようなテーマを設定した背景です。

もう少し細かい部分で言うと、流動性のあるテーマとして「リシェイプ(再構築)」のような観点も含まれています。「日本を見つめ直す」という視点を出発点としつつ、そこからさらに、日本が持つ対外的な魅力、たとえばアニメや漫画といったエンタメ領域や、研究シーズを活用したディープテック分野などにも焦点を当てています。

日本は、そうした分野において非常に豊かな素材を持っている国だと感じています。だからこそ、それらをグローバル基準のマインドで捉え、ビジネスとしてしっかり昇華させていくことが、これからの課題になってくるのではないかと考えています。

テーマとは別に「会うべき人に会える」設計を掲げている背景についても教えてください。

1万人規模のイベントともなると、ただネットワーキングをしているだけでは、本当に会いたい人に出会うことはなかなか難しいのが現実です。

だからこそ、僕たちは、ただ集まるだけではなく、参加者一人ひとりが実利を持ち帰れるような設計を心がけています。特に忙しい経営者やスタートアップの皆さんが、自分のビジネスにとって有益な出会いや情報を得られるよう、出会いの質にこだわった仕組みを提供したいと考えています。

Press enter or click to view image in full size

今年のIVS2025で注目しているセッションやエリア、仕掛けなどがあれば教えてください。

1. セッション
今年のIVSでは、Webにも記載している通り、テーマごとに特化したゾーンを多数ご用意しています。たとえば、AI・DeepTech・エンタメといった分野に加えて、Japan・Globalといった視点、あるいはスタートアップのフェーズ別にSEED・Growthなど、多様な切り口でセッションが展開される予定です。

また、Empower HER=ダイバーシティ&インクルージョンに特化したエリアもあり、参加者それぞれの関心や立場に合わせた学びの場を提供できるよう設計しています。

さらに今回は、ロームシアター京都(メイン会場・みやこめっせの目の前)でキーノートセッションも実施します。登壇者も非常に豪華で、たとえば、DeNAの南場さんやLINEヤフーの川邊さん、GENDAの片岡さん、さらにNotionの創業者や、アメリカから参加するユニコーン級のAI企業などが登壇予定です。

2. ネットワーキング
今回新たに設けた「Funding Lounge powered by NIKKEI THE PITCH」では、VCやCVCとの1on1の壁打ちができる企画をご用意しています。また、大企業との壁打ちの場もこのラウンジ内で展開しており、参加者にとっては貴重な意見交換やフィードバックのチャンスになっています。

このラウンジには、日本経済新聞社さんによる「NIKKEI THE PITCH(NTP)」もスポンサーとして参加してくださっており、大企業とのマッチングの機会をさらに後押ししてくださっています。

またみやこめっせの3階、中央エリアには「セントラルパーク」と呼ばれる空間を設けています。名前の通り、ニューヨークのセントラルパークのように、誰でも自由に立ち寄り、交流できる空白の場所です。来場者同士が気軽に会話を楽しめるような空間を目指しています。

その中でも、いくつか企画を実施する予定ですが、特に活発な盛り上がりが期待されているのがIVS AMA(Ask Me Anything)です。これは例えば、「AI領域に興味ある人、集合!」といったテーマを、紙に書いてポップのようにハイテーブルに立てることで、そのテーマに興味のある参加者同士が自然に集まり、会話が生まれるという企画です。

実はこの取り組み、昨年の最終日に行ったところ、想像以上の大人気となり、多くの人が自発的にテーマを書いてテーブルを囲み、熱心に語り合う様子が見られました。

今回はこの企画をさらに強化し、オフィシャルなコンテンツとして展開します。「この人はこれについて話したいんだな」というのが見えるだけで、ぐっと話しかけやすくなりより盛り上がるのではないかと思っています。

Funding Lounge : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000183.000059319.html

3. スタートアップマーケット
今年のIVSでは、新たに「IVS Startup Market」という企画を実施します。

これまでのIVSにもブース展示はありましたが、基本的にはスポンサー企業による出展が中心でしたが、僕としては大きく2つの課題があると感じていました。

まず1つ目は、出展者のクオリティがわかりにくいという点です。

そして2つ目は、営業色が強いという点です。少し興味があって立ち寄っただけなのに、過度に営業をかけられてしまう場面が多くあります。これが心理的に負担を感じる方も少なくないと思います。

こうした課題を解決するために、新しい工夫を取り入れています。

まずは、出展するスタートアップのクオリティを担保する仕組みについてです。今回出展するスタートアップはすべて、VCやCVCからの推薦によって選ばれています。これにより、一定以上の信頼性と実力を備えたスタートアップのみが集まる設計となっています。

そして、もう一つの大きなポイントが、ツアーという仕組みです。これは、各VCやCVCの方々が、たとえば「AIスタートアップツアー」といった形でテーマ別のツアーを企画・引率するものです。事前にサイドイベント形式で参加者を募集し、当日はVC自身がツアーガイドとなって、参加者をブースへ案内します。

これにより業界全体のマクロ感を捉えながら各スタートアップの立ち位置や魅力をより深く理解できる仕組みになっています。

このように、参加者は受動的であっても自然と優れたスタートアップに出会えるようになり、また出展者側にとっても、本当に関心を持ってくれる参加者と効率的に出会える場になります。両者にとって意味のある出会いを創出できると考えています。

IVS Startup Market : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000169.000059319.html

最後に今回参加される方および参加を検討されている方に向けてひとことお願いします。

参加を検討されている皆さまには、「IVSってなんだか外から見ていると、すごく盛り上がっていてお祭りのようだな」という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、そういった華やかさもIVSのひとつの魅力ではあるのですが、実際には日本のスタートアップのキープレイヤーたちが一堂に集まる、非常に濃密な場となっています。

セッションを通して学べることもたくさんありますし、それ以上に、出会いを生むための仕掛けを数多く用意しています。

ですので、ぜひそういった機会を積極的に活用していただき、予想もしていなかったような良い出会いや、今後につながるきっかけをつかんでいただけたらと思っています。

Press enter or click to view image in full size

・IVSについて〈https://www.ivs.events/ja〉
株式会社Headline Japan
代表取締役:島川 敏明(しまかわ としあき)
所在地 :150–0001 東京都渋谷区神宮前 6–12–18 The Iceberg 5F
設立年月日:2020年1月24日

・Venture Café Tokyoについて〈https://venturecafetokyo.org〉
Venture Café Tokyo は“Connecting Innovators To Make Things Happen”をミッションに掲げ、起業家や起業を志す人、投資家、研究者等、多様なイノベーター達が集い、繋がり、これまでにないイノベーションを社会に対して生み出すコミュニティです。Venture Caféは米国東海岸のイノベーション拠点であるCIC(Cambridge Innovation Center)の姉妹組織としてイノベーションの第1歩目を踏み出す支援のために2010年にボストンで設立されました。Venture Café Tokyoはその拡大するグローバル・ネットワークのアジアでの初めての拠点となり、2018年3月より、虎ノ門ヒルズで開催されております。

Venture Café Tokyoはイノベーションを加速させる様々なプログラムを提供しており、その中心となるのが、毎週木曜日に開催しているフラッグシップ・プログラムであるThursday Gatheringです。Thursday Gatheringで開催される様々なセッションを通じて、イノベーター達はイノベーションを加速させる学びや刺激、そして新たな出会いを得ることが出来ます。

2020年には、Venture Café Tokyoの拠点に、茨城県つくば市、愛知県名古屋市を加え、2021年には岐阜県岐阜市、2022年には立命館大学大阪いばらきキャンパスと、各地域でのイノベーションコミュニティの醸成に向けて、地域内、地域外、グローバルと繋がることを目的に、 自治体・大学と連携してTSUKUBA CONNÉCT、NAGOYA CONNÉCT、GIFU IGNITE、OIC CONNÉCTを定期開催しています。

--

--

Venture Café Tokyo
Venture Café Tokyo

Written by Venture Café Tokyo

Innovation Community Builder in Tokyo.

No responses yet