HAPPEN #23: Nefront 今村翔太さん

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今回のHAPPENストーリーでご紹介するのは、屋内ARクラウドサービス IndooARを開発する「Nefront」 CEOの今村翔太さんです。TSUKUBA CONNÉCTのアンバサダーやセッションのコメンテーターなどとして関わるほか、Venture Caféのつながりからアクセラレーション・プログラムに採択されたといいます。

|今までありそうでなかったサービスを開発

――学部生の時に起業されたと聞いていますが、そのあたりの経緯を聞かせてください。

現在は東京大学の大学院に在籍していますが、筑波大学情報科学類の3年生だった2021年6月に会社を設立しました。巷では「学生が起業する」ことがもてはやされていた時期でもありましたし、様々なスタートアップ系イベントで刺激を受け、勢いで起業したような部分はありましたね(笑)。当初のビジネスとしては、イベントを起点に学生同士の交流促進をSNS として発展させていこうというようなことを考えていました。でもそれはあまりうまくいかなかったので、事業の方向性を大きくピボットし、現実空間に情報を重ね合わせる拡張現実(AR)のアプリケーションやソリューションを開発しています。初期の技術開発などにある程度の目途がついた今年6月に社名をNefrontに変更しました。

画像で位置を特定するという技術自体は10数年前くらいから注目されていますし、グーグルなども手がけている領域ではあるのですが、大半は屋外での位置情報です。実は建物の中で位置を特定するというのは意外と難しいのです。ハードウェアを大量に設置すれば実現できますがそれではコストが膨大になります。建物の中での位置情報を活用したサービスというのはまだ決定的なものが出ていない状況なんです。当社では屋内 AR クラウドサービスと言って、 建物の中で自分のいる場所をスマホのカメラで特定してそこから 誘導 だったり、 AR コンテンツなどを簡単に提示できるようにするというサービスを開発しています。

|成功している登壇者を見て「自分もあっち側に行きたい」と思った

――TSUKUBA CONNÉCTにはどのようなきっかけで関わるようになったのでしょう?

そもそものきっかけは、大学1年生の時に筑波大が開催した産学連携イベントに参加したことです。そこで現TSUKUBA CONNÉCTのプログラムマネージャーの跡部悠未さんと知り合いました。当時はまだTSUKUBA CONNÉCTは発足していなかったのですが、2020年にTSUKUBA CONNÉCTがスタートした際にセッションの学生コメンテーターとして呼んでいただきました。それをきっかけにアンバサダーとしても関わることになりました。会場の設営を手伝ったり、当初はオンラインだったので、オンラインスペースでの交流などがスムーズに運ぶようにサポートをしました。毎回、ガッツリ関わっているわけではないのですが、アンバサダーとしての役割のほか、ピッチを行ったり、セッションのコメンテーターをすることもあります。この9月にもパネルディスカッションに登壇しました。

――起業したこととTSUKUBA CONNÉCTに参加したことは関係があるのでしょうか?

もしTSUKUBA CONNÉCTに参加していなかったとしても起業自体はしたと思います。ただ刺激はすごく受けました。TSUKUBA CONNÉCTでは登壇者の方たちとの距離も近く、ロールモデルにしたいと思うような方々も何人もいらっしゃいました。セッションで自分のやっていることなどを堂々とアピールし、事業としても成功しているケースを目前で見て「自分もあっち側に行きたい」と痛烈に思いました。遠くの世界の話ではなく、筑波という自分の生活圏内でそういうことが起こっているという臨場感はやはり違いますよね。

|気軽に参加でき、新たなつながりが生まれる場所

――TSUKUBA CONNÉCTの魅力はどういうところにあると思いますか?

東京まで行かなくても筑波で出会いの場があるというのは大きいと思います。筑波から東京まで電車で片道約2時間。すごく遠いわけではないけど、気軽に行けるわけでもありません。また、筑波には大学や研究施設などいろいろな機関がありますが、物理的にそれぞれの距離がわりと離れているので、みんなが一つの場所に集合して交流するというような機会は意外と少ないんです。TSUKUBA CONNÉCTのように毎月定期開催されており、気軽にふらっと行ける場所というのは貴重だと思います。

個人的な経験でよかったなと思うのは、9月に開催されたTSUKUBA CONNÉCTにコメンテーターとして参加させてもらったときのこと。その日はパネリストとして大学発ベンチャーとして有名な企業さんなども登壇されており、その方たちとイベントが終わった後に一緒に飲みに行きいろいろお話を聞くことができました。試行錯誤しながら事業を軌道にのせるまでの過程や苦労などをナマで聞くことができるというのは刺激的でしたし、励みにもなりました。そういう新しいつながりが生まれるというのも大きな魅力ですね。

また、ピッチをしたり、コメンテーターとしても何度か登壇させてもらっているので、公の場で話す訓練をたくさん積むことができるのもありがたいと思っています。

――Venture Caféのつながりから新たな展開があったそうですね。

当社が開発する屋内ARクラウドサービス IndooAR が、経済産業省による海外展開促事業TechBiz2023の支援対象に採択されました。2023年11月15 日~ 17日には幕張メッセで開催される、国内外の先端コンテンツ技術とクリエイターや開発パートナーのマッチングの場である「INTER BEE IGNITION X DCEXPO」のTechBiz展示エリアに出展し、IndooARのデモ展示を披露する予定です。

実は「TechBizというプログラムがあるから応募してみないか」と声をかけてくださったのがVenture Café TokyoのProgram Directorの小村隆祐さんなんです。僕はそれまでTechBizというプログラムがあることを認識していなかったので、もし声をかけてもらっていなければ、プログラムの存在に気づかずチャンスを逃してしまっていたかもしれません。事業とマッチングしそうな情報を紹介してもらえるのはすごくありがたいと思っています。

|成長するにはトレンドに乗ることが重要

――今後のビジョンや抱負などを聞かせてください。

先にも述べましたが、起業した当初はスマホアプリとしてSNSをやろうとしていたのですが、VCの受けも悪くかなり苦戦しました。よく考えたらスマホもSNSも終わってるトレンドなんです。スマホは数年前から踊り場に差しかかっており、いろんな会社が次に来るものは何かその突破口を模索しているところで、次世代のデバイスとしてはスマートグラスやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)への関心が高まっています。SNSは現在定着しているメジャーなものは、2000年代から2010年代に登場したものがほとんどです。FacebookやYouTubeもそうですよね。最近登場したものは、例えばClubhouseのように一時的に注目を集めてもすぐ消えています。

一方、A Rというのはメタバースがブームになった時にバズワードになったりもしましたが、まだこれから伸びていく余地がありますし、自分も以前から興味のある分野でした。事業を未来的な思考に向かって大胆にピボットしたところ、期待や注目が増え、いろんなイベントで評価してもらえるようになってきました。もちろんビジネスとしてはまだまだこれからで、軌道に乗るための助走という段階なのですが、領域を変えたことでいろんなことがうまく運ぶようになってきたと感じます。

今まで試行錯誤して思ったのは、トレンドに乗るというのはとても重要だということです。ここから5年くらいの間には大きな変化が来る可能性が高いのではないかと思っています。その波にうまく乗ることができれば事業も大きく成長できると考えています。そこに向けてしっかり準備を進めているところです。

目先の目標としては、2023年11月15 日~17日に幕張メッセで開催予定の「INTER BEE IGNITION X DCEXPO」でのデモ展示を成功させることですね。今までありそうでなかったソリューションを多彩なシーンに広げ、日常的に使ってもらえるようなプロダクトに成長させることを目標に頑張っています。

◆Venture Café Tokyoについて/ About Venture Café

Venture Café Tokyoは”Connecting innovators to make things happen”をミッションに掲げ、各種プログラミング・イベントを通じてベンチャー企業・起業家・投資家を繋げることで、世界の変革を促すイノベーションの創出を狙いとする組織です。Thursday Gatheringは毎週木曜日16時-21時に開催されるVenture Café Tokyoのフラッグシップ・イベントです。教育セッションや安全で快適なネットワーキング空間の提供を通じて、多様な人々が集う場を提供し、上記のミッション達成を図ります。

http://venturecafetokyo.org/

TSUKUBA CONNÉCTは、茨城県を主催として、ボストン発、世界6ヵ国16都市で活動するVenture Caféが茨城県つくば市で運営するイノベーション促進/ 交流プログラムです。

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