HAPPEN #24: EcoLooopers 難波亮太さん
今回ご紹介するのは、循環型社会の実現を目指す会社「EcoLooopers」を設立した難波亮太さんです。スタートアップというものに興味を持ちNAGOYA CONNÉCTにアンバサダーとして参加、スタートアップ支援などを行う会社への転職を経て、今年の9月に起業を果たしたといいます。どのようなHAPPENがあったのでしょうか?
|起業を目指して情報収集中にNAGOYA CONNÉCTに出会う
――まずは自己紹介をお願いします
はい、難波亮太と申します。大学卒業後、愛知県に本社を置く繊維専門商社に入社し、DXの推進やデータ分析などを行っていました。また、スタートしたばかりのNAGOYA CONNÉCTにアンバサダーとして参加していました。その後、2021年8月に日本最大級のオープンイノベーションプラットフォームやスタートアップコミュニティの運営を行う「Creww」に転職し、主にスタートアップコミュニティの拡充・活性化やスタートアップ支援領域全般に携わりました。2023年9月に「EcoLooopers」を設立、アップサイクル領域の事業に取り組んでいます。
――NAGOYA CONNÉCTにはどういうきっかけで参加することになったのでしょう?
繊維商社でDXの推進などに携わる中で、最先端のテクノロジーを活用し、新しい価値を創造する“スタートアップ”というものに興味を持つようになったんです。自分自身も新たなビジネスを立ち上げたいと考え、情報収集をしていた時にNAGOYA CONNÉCTがスタートするというニュースをキャッチし、さっそく初回に参加しました。当時はコロナの真っ最中でオンライン開催だったのですが、スタートアップに関わる今まで接する機会のなかったような様々な方たちと話すことができ、その場の熱気のようなものにすごく刺激を受けました。すでに初回からアンバサダーとして参加している人たちもいたのですがその人たちとも気さくに会話できましたし、どうせならイベントの運営者サイドとして関わった方がより多彩なつながりが生まれるのではないかと考え、アンバサダーとして参加することを決めました。東京に転職するまで、NAGOYA CONNÉCTのアンバサダーとして約1年間、活動していました。
――NAGOYA CONNÉCTには有休をとって参加していたそうですね。またNAGOYA CONNÉCTに関わることで精神面での変化もあったと聞いています。
当時、僕以外のアンバサダーはみんな学生だったんですが、社会人なので学生と比べるとコミット量が不十分な部分があるので、有休をやりくりしてできる限り時間を捻出していました。NAGOYA CONNÉCT への参加にあたっては、将来、自分自身が事業を立ち上げるためのコネクション形成や知見を深めることを大きな目的にしていたので、単にルーティンワークをこなすのではなく、そこで出会った方たちに、自分は何者で、なぜこの場にいるのか、これからどういうことをやろうとしているかなどをストーリー建てて話すように努めていましたね。Venture Caféは自分さえ行動すればいろんなチャンスが転がっている場ですし、貴重な有休を使って参加していたので、何の収穫もなく帰るというのはもったいないですしね。ハングリー精神はかなり養われたと思います。
――NAGOYA CONNÉCTへ参加した当初から起業を念頭に置いていたということでしたが、起業の前にまずは転職という選択をしたのには理由があるのでしょうか?
まず一つは、当時考えていた事業アイディアがコロナの状況下にあっては厳しかったということですね。また、会社員としての経験しかない中でいきなり起業するのはハードルが高いとも感じていました。いざ起業しようとしてもビジネスモデルはどう構築していけばいいのか、顧客開拓はどうすればいいのかなど、具体的なことが何もわかっていませんでしたから。「Creww」に転職すればいろんなスタートアップに接することになりますし、自分が事業を立ち上げた時の成功確度も上がるのではないかという考えもありました。
|資源循環の拡大を目指す会社を設立
――そして満を持して今年の9月に会社を設立されたんですよね。EcoLooopersというのはどういう会社なのでしょうか?
ビジョンとしては「資源循環の輪をつなぐ」ということと、「廃棄物をゴミとしてではなく、資源として活用される社会を作っていきたい」ということを掲げています。本来は捨てられるはずのものに付加価値を与え、製品として再生し市場に循環させていくという“アップサイクル”という考え方があるのですが、例えばアップサイクルから生まれた建材などを使って、環境に配慮した建物を作るというように、廃棄物の有効活用や処理に困っている事業者や、アップサイクルで製品を作り出す事業者、その製品を購入する顧客をスムーズに結びつけ、資源循環の輪を拡大させることを目指しています。当社は9月に登記したばかりなので、これからより緻密なビジネスモデルを作っていくことになります。
――廃棄物の有効活用に着目したきっかけはどういうところでしょう?
新卒で入社した繊維商社での体験が大きいですね。アパレル産業というのはすべての産業の中でも環境への負荷が非常に高いとされている業界なんです。毎年、大量の洋服が生産され、在庫として残り、廃棄される。DXやデータ分析の業務に携わっていたので、そういうデータを目の当たりにするわけです。毎年大量の服が廃棄される構図にはいびつさを感じていました。かといって当時は何か解決策があったわけではないのですが。
アップサイクルに着目したのは「Creww」でスタートアップ支援に携わっていた時に、廃棄衣料からレンガを作るフランスのスタートアップの存在を知ったことがきっかけです。基本的に衣料品は服から服へのリサイクルが主流なのと、ひとつの服にボタンなど複数の素材が混じっているのでリサイクルコストが高く廃棄量に見合うリサイクルが実現できていないのですが、そのスタートアップは衣料品からダイレクトにレンガを作るということで、当時5名くらいのチームで大量のアップサイクル製品を生み出していたんです。そのインパクトもすごかったですし、本来は捨てられるはずのもの新たな付加価値を持たせ、アップグレードして再生させるということに魅力を感じました。一方、アップサイクルの認知度はまだ低く、今まで通りにゴミとして廃棄されたり、アップサイクルで生まれた素材の活用も進んでいません。このあたりを上手くつなげていきたいと思っています。
|培った関係は一過性ではなく今でもつながっている
――NAGOYA CONNÉCTで培った人脈はビジネスにも役立っていると聞きました。
NAGOYA CONNÉCTつながりで、地方で起業する人のためのワークショップの講師としての仕事を契約できました。EcoLooopersの事業とは直接関係ありませんが、起業家支援という分野でも活動したいと考えていますし、創業して間もないスタートアップは本業のみで売上げを立てるのはなかなか難しい部分もあるので、このような案件も非常にありがたいと思っています。本業に関しても「廃棄物のアップサイクルに取り組んでいる方とつなぐよ」とか、「廃棄物の有効活用に関心のありそうな人を紹介する」など、NAGOYA CONNÉCT・Venture Caféコミュニティに関わる様々な人たちから手を差し伸べてもらっています。
さらに、Venture Caféのチームメンバーで僕と同い年の人がいるのですが、彼も比較的最近会社を設立したので、法人登記の手順など具体的なことをアドバイスしてもらえたのも助かりましたね。
――Venture Café TokyoやNAGOYA CONNÉCT の魅力はどういうところにあると感じますか?
先に述べたように実際にお仕事の話をいただけたりであったりとか、巡り巡って思いがけない出会いにつながったりとか、そういうのはすごくいい部分ですよね。
関係性が一過性ではなく、今でも現在進行形で繋がっているのもうれしいところです。僕がNAGOYA CONNÉCTでアンバサダーとして活動していたのは約1年間だけですが、転職で東京に引っ越してからも時々(東京の)Thursday Gatheringに遊びに行ったりしていますし、23年3月に開催されたRocket Pitch Nightではイベントの運営にも携わらせてもらいました。また、今年は今度は起業家としてNAGOYA CONNÉCTに登壇をしました。
NAGOYA CONNÉCTやその他のVenture Caféのイベントは、場としても独特の雰囲気や活気がありますよね。一般企業の方をはじめ、国や公的機関に勤務している方、研究者や学生、もちろんスタートアップ起業家の人たちもいます。ここまでいろんなジャンルの人たちが集まる場というのはそうはありません。さらに、日本人はシャイといわれますけどVenture Caféではみんな積極的にいろんな人たちに話しかけます。あの空気感はそこに行かないと味わえないものだと思います。
――今後の目標はありますか?
資源循環というのは非常にスケールが大きな領域だけに難しさも感じていますが、社会として向き合っていかなければならない課題です。まだまだ市場に認知されていない部分もありますが、現場の声などを取り入れながら着実に歩みを進めていきたいと考えています。日本だけでなく世界的な課題でもあるので、将来的には海外展開というのもチャレンジしたいですね。
◆Venture Café Tokyoについて/ About Venture Café
Venture Café Tokyoは”Connecting innovators to make things happen”をミッションに掲げ、各種プログラミング・イベントを通じてベンチャー企業・起業家・投資家を繋げることで、世界の変革を促すイノベーションの創出を狙いとする組織です。Thursday Gatheringは毎週木曜日16時-21時に開催されるVenture Café Tokyoのフラッグシップ・イベントです。教育セッションや安全で快適なネットワーキング空間の提供を通じて、多様な人々が集う場を提供し、上記のミッション達成を図ります。
NAGOYA CONNÉCTは、名古屋市を主催として、ボストン発、世界6ヵ国16都市で活動するVenture Caféが名古屋を中心に運営するイノベーション促進/ 交流プログラムで、毎月第2・第4金曜日に行われます。