Happen #8: NPO法人ZESDA 桜庭さん & 本田さん

(左)桜庭大輔さん、(右)本田秀一さん

”今ZESDAで携わっていることを通じて、パラレルキャリアのベースと実績を作っていきたいと考えています。”

Thursday Gatheringでの出会いを通じて新たな挑戦に踏み出した本田さんは思いを込めてそう語ります。今回のHAPPENストーリーは100人がパラレルキャリアで活動するNPO法人ZESDA代表である桜庭さんと、本田さんとの出会い、そして社会に構造的な変化を起こそうとするお二人の熱いビジョンについて話をお伺いしました。

お二人の自己紹介、ZESDAについての紹介をお願いします

桜庭さん:桜庭大輔と申します。公務員をしながら、パラレルキャリアで様々な課外活動をやっていまして、その中心としてZESDAというNPO法人を10年ほど運営しています。ZESDAとは、「Zipangu Economic System Design Association(日本経済システムデザイン研究会)」の略称です。

ZESDAの目的は、日本の経済システムがもう持たないという課題意識から、それをガラッと変えることです。具体的には、都市部からのおカネの再配分で生活するという構造が強い日本の地方が、自分たちで海外からおカネを稼げるようにして、雇用を作りたいと思っています。いわゆるグローカリゼーション(グローバル×ローカル)です。

そしてその手段は、「プロデュース」です。「プロデュース」とは、カネ(金融資本)とチエ(知識資本)とコネ(社会関係資本)という3つの資本のバランスを整えて、足りないものを注いでいく活動のことです。日本の地方が海外からおカネを稼ぐ力を持つには、カネ・コネ・チエそれぞれがパランスよく必要です。これまでの再配分構造の中では、カネばかりが再配分されがちでしたが、これからは、地方が自立できるよう、ITスキルや海外人材といったチエとコネをもっと再配分していきたいと考えています。そうすることで、日本の産業構造及び雇用を持続可能なものにしたいのです。

しかし、これらを現在の霞ヶ関や永田町が実現するのは、構造的に困難だと思います。おカネの再分配を望む人々と選挙と政策がしっかり結びついた「しがらみ」があるからです。なので、全く違うベクトルを持ったエンジン、利害を全く異にした人材が、グローカリゼーションのプロデュースを実現しないといけないと考えています。それは誰か。ズバリ自分のキャリアに不安を抱える都会のコンサバなサラリーマンやフリーランスの人々だと思っています。彼等が、自分の持つ、特にチエとコネを地方に注いでいくなかで、さらにコネ・カネ・チエを増やしていく、そうして自らのキャリアを切り拓いていくなかで、日本の経済システム全体も生まれ変わっていくと考えています。地方の雇用確保と、都会のサラリーマンのキャリア開発と、国際競争における日本産業の生き残り、すなわち、地方の自立、サラリーマンの自立、日本の自立、という3つの自立は、同時解決される問題であると考えて活動しています。

本田さん:本田秀一と申します。本業としては、メーカーので人事での仕事をしています。基本的には全国転勤なんですが、直近は愛知、2年前から岐阜で人事・総務のマネージャーをやっています。その傍ら、ZESDAの事務局でボランティア活動しています。

具体的には、ZESDAのカレッジ部門で活動しています。地方に注ぐイベントやネットワーキングによって、チエとかコネをかき集めてくる部門です。具体的には研究・イノベーション学会プロデュース研究分科会と共に人材育成講座を開催したり、明治大学の奥山雅之先生の研究室と一緒にグローカルビジネスセミナーを開催したりしています。また、事務局として、全体を俯瞰し、ZESDA内のプロジェクト間でチエとコネを流通させる機能も担っています。

桜庭さん/ ZESDAとVCTとの関係性についてお伺いさせてください。

桜庭さん:Venture Café Tokyoとは直接的なご縁は、ZESDAの理事にVCTの関係者がいたことが始まりですね。まず、カネだけじゃなくて、チエとコネも大切だよねというところで、ZESDAとVCTは価値観を深く共有していると感じています。

もちろん、Venture Café Tokyoは、テクノロジカルなトピックも扱っていたり、強力な海外ネットワークがあったり、パラレルキャリアや地方創生を専門的に扱うZESDAが持っていない素晴らしい長所があります。それでも、特に、チエとコネを集めるZESDA内のカレッジ事業部と兄弟・姉妹と言ってもいいくらい、理念的な親和性があると感じています。

そうした共感から、自然と、Thursday Gatheringではコネとチエをどうやって集めるのか、そしてそれらをどうカネに変換していくのかみたいな議論をする際に、私も過去何度か登壇させていただいたりして、協働、協創関係を深めさせていただいています。

本田さんはVCTのセッションがきっかけでZESDAに入られたとのことですが、経緯や意味合いを教えてください

本田さん:ZESDAに入ったのは桜庭さんが登壇していた「脱・働く#5 — After/ Withコロナ時代のパラレルキャリア論」というセッションに参加させていただいたのがきっかけです。セッションに参加して、桜庭さんのいうチエとコネが大切だよねというところに、とても共感しました。加えて、僕自身が地方で過ごすことがこれまで多かったのですが、地方から直接外貨を稼ぐエコシステム創生という考えにも将来性を感じるし、やらなきゃいけないというミッションを強く感じました。

地方在住だと以前のThursday Gatheringのようなリアルなミーティングに参加できないというところにもやもやとしていたので、コロナの状況ということもあってオンラインで参加できたことは本当によかったです。一見、”Venture” Café Tokyoというとベンチャーじゃなかったら、参加しづらい感じがあるかもしれないけど、ホームページなんかを見ると実際は、挑戦する、というか、もっと広い意味合いでのベンチャーという言葉が用いられていますよね。新しいものにどんどん取り組んでいこうという、前向きな雰囲気があって、本当に参加しやすかったですね。

しかも、毎週やっていてオープンな雰囲気のある場というのがよかったです。

桜庭さん:やっぱり、必ず木曜日に定期的にやっているというのはすごく大切だと思うんですよね。高い頻度も重要。参加できない時でも、また今度参加できる、という安心感がありますよね。あと動画が残っているのも良い。ながら聞きとか倍速再生とかでキャッチアップできますし。

本田さんが入られたこと自体がすでにHAPPENだと思いますが、更なるHAPPENに向けてお二人が今後さらに仕掛けていこうとしていることはなんですか?

本田さん:今ZESDAで携わっていることを通じて、パラレルキャリアのベースと実績を作っていきたいと考えています。さらには、自分と近しい20代後半とか30代前半くらいの、これからのキャリアに悩んでいるような人を巻き込んでいきたいと考えています。

例えば、自分は年齢が10コ上くらいの人と話すと、視座を一つ高めたところで学べる感覚を持つことがあるんですが、他者からチエを仕入れるそういう機会を同世代にも広げていきたいです。

桜庭さん:私が企んでいることは、大きく、2つあります。。

一つは、ダジャレですみませんが、本田さんをもっと「発奮」させること。もちろん既に十分過ぎるほど活躍してくれているのですが、日本社会における次世代のロールモデルになってもらいたいと考えています。サラリーマンの半分以上が、本田さんのように、準自営業者的にパラレルキャリアを歩んでいるような社会を作りたいと思っています。

二つ目は、これはまだ詳細は秘密なのですが、ZESDAがより社会的なインパクトを生み出すために、水面下で進めているプロジェクトがあります。それはサラリーマンが、自分の持っているチエやコネを、それらを求めているニーズを探していき、マッチさせていくなかで、付加価値を出せる自分を手に入れていけるようにしていくための取り組みなのですが、これを世に出していきたいです。近夏くらいになるかな。

そして、その先にも、自分が60歳くらいで、人生最後の事業としてコネとチエとカネを総動員して取り組みたい、より大きなプロジェクトも念頭にあるんです。だけど、これまたまだ秘密です。。。申し訳ないです。。。が、その準備を今からしていきたいと思っています。こうした取り組みのなかで、日本の経済モデルそのものを変えていきたいと考えています。

ありがとうございました!

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