OIC CONNÉCT #10 レポート

Venture Café Tokyo
17 min readJul 19, 2023

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多様な人が交流し、学びの機会を創出するプログラムとして立命館学園とVenture Café Tokyo(ベンチャーカフェ)が主催する「OIC CONNÉCT(オーアイシー コネクト)」の10回目が、2023年6月2日 (金) に立命館大学 大阪いばらきキャンパスにて開催されました。

OIC CONNÉCT #10

OIC CONNÉCTは、毎月1回、立命館大学 大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市、通称OIC)にて開催されるイベントです。参加者はイノベーター達による講演やワークショップ等を通じて、学びながらネットワークを広げられます。

第10回となる今回はENERGY NIGHTと題し、エネルギーに関する以下の3つのセッションが行われました。

  • BE THE CHANGE 自ら変化を作る人が集う〜Green Innovator Academy〜
  • ENEOSグループのオープンイノベーション、CVC活動・社内ベンチャープログラム:「ChallengeX」〜ENEOSと、はじめよう!カーボンニュートラルチャレンジ実証~
  • 2050年までにカーボンニュートラルは実現できるのか? 〜2050年に向けた地域づくりの最先端の現場から〜

会場では、これらセッション以外に、スタートアップや生徒・学生が作ったプロトタイプを試せるデモテーブルや、OIC CONNÉCT-U(勉強会) では、7/7に開催する「ROCKET PITCH NIGHT KANSAI 2023」のピッチ登壇説明会が行われました。

オープニングでは、OIC CONNÉCTやVenture Café Tokyoの世界観、参加者がお互いに安心して楽しむためのコツや簡単なコミュニティ・クレドの話があり、セッションに移りました。

BE THE CHANGE 自ら変化を作る人が集う〜Green Innovator Academy〜

気候変動をはじめとして、問題が山積みで明るい未来が見えない!?

しかし、未来は見ることはできないけれど、つくることはできます。

Green Innovator Academyとは学生・社会人が半年にわたり、様々な有識者・リーダーからの講義、対話、フィールドワークを重ね、新規事業や政策案を発表するプログラムです。本セッションでは、実際にアカデミーの卒業生も招き、学びや気づき、自身が描く未来について対話をおこないました。

登壇者 / Presenters

  • 菅原 聡 氏(So SUGAWARA)
    = 一般社団法人Green innovation 代表理事
  • 藤原 悠 氏(Yu FUJIWARA)
    = 大阪大学大学院工学研究科博士後期課程1年
  • 斎藤 真緒 氏(Mao SAITO)
    = 関西学院大学教育学部3年

モデレーター / Moderator

  • 古川 千尋 氏 (Chihiro FURUKAWA)
    = 一般社団法人Green innovation アカデミー担当

登壇者からのメッセージ / Message from presenters

◆菅原 聡 氏
皆様ご参加ありがとうございました!また事務局の皆様、貴重な機会を頂戴しありがとうございます。セクターや世代を超えて今後とも協業させていただけましたら幸いです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

◆藤原 悠 氏
みなさまご参加ありがとうございました!当日は自身の経験を踏まえて Green Innovator Academy についてのご紹介をさせて頂きました.お話させていただく中で,私も多くの刺激を頂きました.Green Innovator Academy はこれからも Be the CHANGE 目指して様々な活動を行っていきます!また是非お話ししましょう!

◆斎藤 真緒 氏
皆様お足元の悪い中ご参加いただきありがとうございました!Green Innovator Academyに参加したのは2年前になりますが、今でも各地で活躍している仲間とつながれるコミュニティがあり、さらにこの輪を拡大して、共に脱炭素社会の実現に向けて盛り上げていけたら嬉しいです!

◆古川 千尋 氏
皆さま参加ありがとうございました!Green Innovator Academy第三期は関西の方々から沢山ご応募いただきました。
様々なところで1期,2期,3期生に今後会えると思いますし、我々も定期的にイベント等行なってまいりますので是非ご参加くださいませ。Be the CHANGE、ともに未来を変えていきましょう!
残念ながら当日雨の影響で現地に伺うことができず、申し訳ありませんでした!

ENEOSグループのオープンイノベーション、CVC活動・社内ベンチャープログラム:「ChallengeX」~ENEOSと、はじめよう!カーボンニュートラルチャレンジ実証~

2040年の社会シナリオを描いた長期ビジョン、ENEOSは2040年のありたい姿に近づくためにオープンイノベーションに積極的に取り組んでいます。2019年には、コーポレートベンチャーキャピタルである「ENEOSイノベーションパートナーズ」を設立し、これまでに国内外のスタートアップ30社以上に出資しました。また、社外と協業する一方、当社グループは、挑戦を是とし失敗を許容する企業風土の醸成も進めています。その一つが、従業員個人のアイデアを事業化する社内ベンチャープログラム「Challenge X」です。本セッションでは、当社のCVC活動と出資先スタートアップ、ウェイストボックス様に支援いただいた、ChallengeX発の新規実証についてお話しました。

登壇者 / Presenters

  • 石川 充子 氏(Michiko ISHIKAWA)
    = ENEOSホールディングス株式会社 未来事業推進部 事業推進2グループ担当マネージャー
  • 荒川 亮 氏(Ryo ARAKAWA)
    =ENEOSホールディングス 未来事業推進部 事業推進2グループ チームリーダー
  • 久保 隆之 氏(Takayuki KUBO)
    = 株式会社 ウェイストボックス 環境ソリューション事業部 マネージャ

登壇者からのメッセージ / Message from presenters

◆石川 充子 氏
皆さん、この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。当社の社内ベンチャープログラム、ChallengeXとカーボンクレジットを活用したカーボンオフセット製品の実証実験についてお話しさせていただきました。社外の皆様のお力もお借りして、脱炭素分野における社会課題を一緒に解決できたらと思います!よろしくお願いいたします。

◆荒川 亮 氏
当日は弊社グループのCVC活動をご紹介させて頂きました。
「今日のあたり前」を支え、「明日のあたり前」をリードするべく日々取り組んでおりますので、ご視聴頂いた方に限らず、少しでも関心を持って頂けましたら幸いです。是非一緒に「明日のあたり前」を創造していきましょう!

◆久保 隆之 氏
当日はENEOS様と弊社の共同によるCO2排出量の“見える化”とオフセットの取組を紹介させていただきました。
これを機会にオフセットを個人できる環境への貢献の選択肢の一つとして認識していただけると幸いです!

2050年までにカーボンニュートラルは実現できるのか? 〜2050年に向けた地域づくりの最先端の現場から〜

残り27年。2050年のカーボンニュートラル実現までの残りの年数です。世界中で地球温暖化の影響による災害が勃発し、私たちには全くもって猶予がありません。しかし本当に2050年までに実現可能なのでしょうか。そもそも実現させることにどんな意味があるのでしょうか。

環境対策は今や経済の制約ではなく、社会経済をより活性化させ、産業構造さえも大転換させる力があります。2050年に向けて各地域が、ひいては日本が、どのような社会的なイノベーションを起こしていくべきなのか、社会的なイノベーションにどんな意味があるのか。。。本セッションでは2050年に向けた地域づくりの最先端でご活躍されているお二方と学生が討論し、変わっていく私たちが生きる豊かな社会について共に考えていきました。

登壇者

  • 榎原 友樹 氏(Tomoki EHARA)
    = 株式会社E-konzal 代表取締役
  • 木原 浩貴 氏(Hirotaka KIHARA)
    = 京都府地球温暖化防止活動推進センター 副センター長 | たんたんエナジー株式会社 代表取締役 | 総合地球環境学研究所 客員准教授 | 龍谷大学大学院政策学研究科 非常勤講師

モデレーター / Moderator

  • 窪園 真那 氏(Mana KUBOZONO)
    = 立命館大学 産業社会学部 3年

本セッション企画者であるOIC CONNÉCT アンバサダーの窪園真那さんにインタビューをおこない、セッションの企画秘話に迫りました。

|バックグラウンドと専攻する学問が結びついた瞬間

— まずは自己紹介をお願いします。

立命館大学産業社会学部の3回生で、社会学を専攻しています。エネルギー政策の分野及び、外交や安全保障を主に勉強しており、その中でも特に前者に重きを置いています。立命館のプログラムである、オナーズ・プログラムのゼミで外交について勉強しながら、同時に”エネルギー安全保障”などエネルギーに関わることもあり、勉強していました。

これらの学問に興味を持った背景としては、私自身のバックグラウンドにあると考えています。私は高校卒業までの18年間は鹿児島県や奄美大島で育ちました。その18年間の中で”街が死んでいく”(=街の衰退)のを身近に感じていました。一方、小学校などでその街の歴史や地域資源を学んで自然・伝統など色々あり、魅力的なのにどうしてなくなっていくのか…と思っていました。国がリニアなどをつくったりしていく一方で、地方を切り捨てて行っている感じがして、それってどうなのかな?と感じていました。そのときに地方社会をどのように残していくのかを考えたときに、エネルギーを紐付けることができないか?ということを考え始めました。

安全保障や外交関係については、育った奄美大島がアメリカ軍統治に置かれていた過去があることなどから自分にとっては小さなころから身近な分野でした。

— 数ある学問の中でもなぜ社会学に興味を持ったのですか?

高校までの”社会”の科目には興味を持っていましたが、社会学には興味がなく、受験期に大学を選択する際には両親が体育の先生をやっていることもあり、スポーツ科学を勉強したいと考えていました。そこから紆余曲折あり、立命館大学産業社会学部に入学することになりました。前述のとおり、もともとはスポーツ科学に関心を持っていたため、どう社会学に興味を見出すか苦労しました。そのなかで大学での授業やカリキュラムを通じて、自らのバックグラウンドにも重なるエネルギーに興味を抱くようになりました。

— OIC CONNÉCTとの関わりについて教えてください。

OIC CONNÉCTではアンバサダーとして、運営のサポートや場の盛り上げをおこなっています。今年の1月ごろに同級生であり、アンバサダーである畠麻理奈さんらに誘われて初めて参加したのがきっかけです。

大学生になってから”とりあえず飛び込んでみよう!”の精神で様々な機会に参加してきました。そこに行ったら何か起こるかもしれない。誰かと繋がり、面白いことに出会えるかもしれないと考えており、その中でOIC CONNÉCTにも出会うことができました。(OIC CONNÉCTに限らず、)人のつながりは大事で、本当に繋がってくるものであることを実感しています。

OIC CONNÉCTとの関わり方としては、私自身は起業をすることは考えておらず、起業家がどんな立ち回りで社会の中で動いているのかなど、社会がどのような仕組みで動いているのかという見方をしているなと感じます。そして、今回自分がセッションを企画・運営したことで、よりコネクトを感じました。自分自身が登壇者の方とコネクトすることもそうですし、登壇者として高校の同級生や大学の友だちなど、私自身が別のコミュニティで関わってる人たちを参加者として呼んだら、私の知り合いだった参加者同士がその場でつながっていく場面を目撃し、ビックリしました。(笑)

|自らの興味・関心から始まったセッションの企画

— 今回セッションを企画・開催してみて率直にどう感じましたか?

一言で言うと、楽しかったです!仕事に追われているのではなく、自分のやりたいことや社会のイノベーションに向けて行動し、ワクワク楽しく働いている登壇者のお二方の目つきがとてもキラキラされていて、身に染みてすごいと感じましたし、(セッションを観覧してくれた)学生に伝えることができたのは嬉しかったです。特に私自身が腑に落ちた経験(後述)を今度は自らが伝える立場として、機会を作りたいと思っていたので、とてもいい機会だったと感じています。

— どのような経緯で今回、セッションを企画することになったのでしょうか?

もともとエネルギーにも環境問題にも興味はなく、意識の高い人が勉強しているというイメージを持っていました。今でも私自身の中で大きくは変わっておらず、そのこと自体が問題であると考えております。環境問題への個人個人の取り組みは経済性があることではなく(=経済的にメリットがあること)、自発的にやっていく取り組みになることが多いので、みんながインセンティブを持てないことが私の中で引っかかる部分であり、興味を持てずにいました。

これらの問題に興味を持つきっかけになったのは、今回の登壇者である、木原さんとの出会いです。後にゼミに所属することになる、山口歩先生の講義を受けた時に今回の登壇者である木原さん(山口ゼミの卒業生)が、ゲストスピーカーとして紹介され、授業を受けました。そこで学んだことは、”エネルギーは金になる”ということ、地域のエネルギーで消費したお金は中東に行っている(=化石燃料を多く使用している)ということでした。また、再生可能エネルギーを地域で作って地産地消していけば地域が潤うし。再生可能エネルギーのコストは今は高いが、ずっと続けていくことで安くなっていくから設備投資をしていくことが必要であることも学びました。この授業を通じて、エネルギー分野のあらゆるバイアスをすごい叩き込まれた感覚でした。世界や日本の現実を思想ではなく、数字面で見せられた時にこれらの課題に地域社会でも取り組んでいくメリットがあることを知り、私自身も腑に落ちました。そこから様々なしがらみを数字で見て知っていくことで、これらの問題に取り組んでいかないとまずいという課題や危機意識を持つようになりました。

OIC CONNÉCTでセッションを企画することになった背景としては、安東さん(OIC CONNÉCTの運営スタッフ)から何かやってみない?とご提案いただいたことがきっかけです。ラフに双方向でコミュニケーションが取れる場はそこまで多くないと考えており、そのような場でセッションを作りたいと考えていたため、OIC CONNÉCTとの親和性は高いなと感じていました。実際に今回のセッションでも、一方的なレクチャーの形式でその場で完結するのではなく、セッションで雰囲気作りをメインにおこない、セッション後に自然発生的に登壇者と参加者の垣根を超えてネットワーキングおこなっている場面は素敵だなと感じました。

|セッションの企画・運営を通じて学んだこと、改めて感じたOIC CONNÉCTの魅力

— セッションを企画する中で難しかったこと、学びになったことを教えてください。

セッションを実際におこなってみるまで、そのセッションがどのような内容や雰囲気になっていくのかがわからなかったことです。登壇者の方々をお誘いし、大まかな内容を決めていくところまではスムーズに進んでいったのですが、私自身の中で本当はどんなことを伝えたくて、それをどのように伝えていくのかということを考えていくことが難しかったです。”私自身がセッションで伝えていきたいこと、オーディエンスに何を求めて、何をメッセージとして伝えたくて、どのように伝わってしまうことを避けたいのか”ということを登壇者の方々と事前に共有しました。特に根底にあったのは、セッションの進み方がレクチャーチックになることだけは避けたく、明るい雰囲気でみんなで対話がおこなえる雰囲気をつくることを意識していました。

またセッションをおこなう前には、リハーサルとしてエネルギーについて詳しく知らない知人などにセッションの内容を話してみて、その都度フィードバックをもらうことで、様々な方にわかりやすく伝わるように内容をブラッシュアップしていきました。

今回のセッション企画を通じて学んだことは、自分の生き方がもっと多様でいいなと思ったことと、伝え方が大事であるということの2点です。前者に関しては、イキイキしていたりワクワクして地域のオーガナイザーとして動いている登壇者のお二方をみて、そういう”起業家”もいるのだなということを感じましたし、自分の興味分野の中で活躍している人を実際に見て、自分の中の指標ができた感じがします。後者に関しては、自分がゼミの授業で受けた衝撃を、自分も同じように作り出せたことに達成感を感じました。でも、自分の思想を押し付けるようなことはしたくなく、もっと丁寧に議論を重ねていくべきであると考えています。友人からも「難しい内容だと思っていたけど、わかりやすく面白かった!」、「Manaらしい雰囲気のセッションだった!」という感想をいただきました。

— 最後に今後OIC CONNÉCTに参加する方や他のアンバサダーに対してメッセージがあればお願いします

まずは参加者の皆さんへ、好奇心や興味・関心を発掘する場として活用してほしいなと考えています。アンバサダーのみんなに対しては、彼ら彼女らにそれぞれの目的があると思うので、その目的を果たすために動くのが大事だと思います。月1回しかないイベントだからこそ、そのチャンスを最大限に活かしてほしいなとも思います。

窪園真那さん、素敵なインタビューをありがとうございました!

最後に

Green Innovator Academyの卒業生から、環境問題に対しておこなった実際のアクションを知り、Challenge Xが創る未来にワクワクし、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて地域づくりの最先端でご活躍されている登壇者の方々から、変わっていく私たちが生きる豊かな社会について共に考えるなど、これからの環境対策に向けて様々な観点から対話を重ね続けた一夜となりました。

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