【開催レポート】OIC CONNÉCT #3

Venture Café Tokyo
15 min readNov 22, 2022

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多様な人が交流し、学びの機会を創出するプログラムとして立命館学園とVenture Café Tokyo(ベンチャーカフェ)が主催する「OIC CONNÉCT(オーアイシー コネクト)」の3回目が、2022年11月4日(金)、立命館大学 大阪いばらきキャンパスにて開催されました。

OIC CONNÉCT #03

OIC CONNÉCTは、毎月1回、立命館大学 大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市、通称OIC)にて開催されるイベントです。参加者は、イノベーター達による講演やワークショップ等を通じて、学びながらネットワークを広げられます。第3回となる今回は、以下の3つのセッションでさまざまな考え方に触れ、意見交換をする場となりました。

● アフリカという選択肢~経験のないフィールドで行動を起こし継続するためには

● OIC CONNÉCT PITCH ~ 学生ベンチャーコンテスト参加者が想いを語る!!

● 未来社会を創造する地域女性リーダーと起業家マインド~JWLI BOOTCAMP2022大阪の学びから~

オープニングでは、OIC CONNÉCTやVenture Café Tokyoの世界観、参加する皆さんがお互いに安心して楽しむためのコツや簡単なコミュニティ・クレドの話があり、セッションに移りました。

アフリカという選択肢~経験のないフィールドで行動を起こし継続するためには

初めのセッションではまず、一念発起してタンザニアのエコビレッジ創設に参加した津川氏が現地での体験をシェアしました。
そして、ウガンダで起業している清水氏とともに、行動を起こすことや新たな価値観に触れることの大切さや想いを事業として継続するためはどうすればよいかについて考えました。

モデレーター
堂道 有香 氏
= ソニーグループ株式会社 Sony Startup Acceleration Programアクセラレーター

アフリカでの活動にかける想い

はじめに、津川さんからタンザニアでのまちづくりに至った背景と現地での経験からの学びについての話がありました。

津川さんは自分の過去の経験を踏まえて「安心して挑戦できる人を増やしたい」という想いから「自分でできるアクションとして、お金のかからないエコビレッジづくりをタンザニアで行動に起こしました。」と、活動をスタートさせた理由を述べました。

現地は、電気・ガス・水道などすべて独立した生活様式で自給自足の暮らしであることも、写真と共に紹介されました。

タンザニアでの経験から、津川さんは2つの学びがあったと話します。1つは、ハッピーな生き方。アフリカは幸せそうな人が多く、人との繋がりを大切にしているのが幸せに繋がっていると感じたそうです。

2つ目は、身一つで生きていける。現地では、あるものを利用して何でも作り、モノがない環境でも生きていけるのだと思ったそうです。それと同時に「何かに挑戦するときには、どうしてもお金がキーになってくるので、それが今後の自分の課題でもあります。」と新たな気づきについても話しました。

続いて、清水さんの紹介に移りました。清水さんはCOTS COTS LTDを創業し「2040年に人口が現在の倍、8,000万人になるウガンダで、人々の生活向上に寄与する産業の創出」に取り組んでいます。

飲食事業や不動産、水産業バリューチェーン構想、太陽光と雨水で自給可能なオフグリット住宅モジュールの展開など、さまざまなプロジェクトの紹介があり、アフリカでの事業における熱い想いが伝えられました。

アフリカを選んだ理由とは

二人はなぜアフリカを選んだのでしょうか?その理由を聞きました。

津川さんは「ニュースで見るアフリカの貧困などの問題が事実なのか自分の目で見て、どう感じるか知りたかったんです。実際に住んでみて、食・宗教・人口構成など日本と親和性が高いと思いました。」と話しました。

一方、清水さんは偶然だったと話します。「会社をやめて一番遠い所にいる知り合いに会いに行こうと思ってウガンダにいる後輩を訪ねたのがきっかけです。空港に降り立ったときに直感的に住める所だと感じました。アフリカでいろんな人に会い、ビジネスを立ち上げることになりました。」

一方、清水さんは偶然だったと話します。「会社をやめて一番遠い所にいる知り合いに会いに行こうと思ってウガンダにいる後輩を訪ねたのがきっかけです。空港に降り立ったときに直感的に住める所だと感じました。アフリカでいろんな人に会い、ビジネスを立ち上げることになりました。」

清水さんが自身の活動で得た気づきは何だったでしょうか?「最大の気づきは、いろんな人がいるなと実感したことです。ウガンダとの価値観の違いを理解して受け入れて、日本式を押し付けずにどう良い形にするかを追求しています。焦らずに日本人の活動が少しずつ現地に馴染んでくると良いなと思っています。」

津川さんは「不便と不幸は違う、と気付かされたのが最大の学びでした。モノが少ない暮らしをしながら、不便でも満足していれば幸せに生きていけると学べました。」と活動から得られた大きな気づきについて語調を強めました。

アフリカの将来を見据えて

この先、アフリカにはどんな未来があるのでしょうか。そして二人はどのように関わっていきたいのでしょうか。今後について伺いました。

清水さんは「人口は確実に増える」と前置きした上で続けました。「人口が増えても食料と教育が伴わないと経済は伸びません。自分達が産業を作って、社会の課題解決や雇用創出することで、アフリカの経済成長に貢献できると考えています。」

津川さんは「教育の面でアフリカに関わりたい」と話します。子どもが増えても支援が行き届いていない現状があります。エコビレッジだけでは持続可能の面で課題が出てくると思うので、自分で事業を立ち上げて雇用を作り出すことで関わりたいです。」

その後は「ビジネス」と「寄付」という、それぞれが選んでいるアプローチについて熱いディスカッションが交わされました。日本ではまだあまり馴染みのない東アフリカの国々の魅力や市場としての可能性、事業運営上のリスクなどへの理解を深め、セッションを終えました。

OIC CONNÉCT PITCH ~ 学生ベンチャーコンテスト参加者が想いを語る!!~

今回、初めてOIC CONNÉCT Pitch セッションを試みました。

現在開催中の第19回立命館大学学生ベンチャーコンテスト2022にエントリーした全国のチームを中心に登壇者を募集し、今回は5つのチームが参加。それぞれがビジネスプランや起業、将来への想いなど熱い想いをぶつける3分間のPitchでした。

各チームのPitchの後にはコメンテーターの小村氏から、学生たちへの賞賛とともに鋭い指摘が投げかけられ、それぞれの事業をより良くするための活発な意見が飛び交いました。

コメンテーター
小村 隆祐 氏
= Venture Café Tokyo プログラム ディレクター|ボストンに拠点を置くNPO 「Binnovative」立ち上げメンバー

OIC CONNÉCT Pitch

ShareMate:空き家を活用したシェアハウス型採用プラットフォーム事業

南 宏樹 さん = 神戸大学
グローバル人材獲得が困難な企業、住まいや生活に難しさを抱える留学生、地方が抱える空き家、の3つの問題を解決するサービスとして、空き家を利用したシェアハウス型の採用プラットフォームを提供。「Share Mateから輝くグローバル人材を!」を掲げ、企業と学生が共に成長していく社会を実現していきます。

THINNEY:すべての子供たちにマネー教育を!

織戸 弘暉 さん = 近畿大学
「タカラモノであるすべての子どもにマネー教育を」をミッションに挙げ、子どものマネー教育と授業外の勉強格差を解決するためのディスカッション型のマネー教育を行うマネー教育研究所、学習型オンラインコミュニティTERACOの開設。

モクジヤ :新入生向け奨学金情報収集サービスShouldリスト

鈴木 粋 さん = 同志社大学
「学びや体験がお金に左右されない世界の実現」をビジョンに掲げ、奨学金に関する難しさを解決し、奨学金を必要とする学生の「これ知らなかった」をなくす奨学金情報提案サービス Sould Listを提供。より多くの学生がより多くの情報を均等に得られるサービスとして成長させていきます。

Seed:発達障害の子供を持つ親向けのAIとARを活用したソーシャルスキル&学習教室

井上 峻之介 さん = 筑波大学
発達障害の子どもをサポートする人材の不足により、最適化された個別学習とデータの蓄積なされていないという課題に対し、客観的なデータに基づき、人がテクノロジーと共に支援することで判断の質の向上と支援の効率化い、少ない人件費で支援教室を運営。親御さんと並走して子どもの明るい未来を目指します。

FoodFul :離乳食サポートサービス

柳 陽菜 さん = 立命館大学
「世界中の誰もが食で思いやりを届け、感じられる考え方と環境を」をビジョンに掲げ、離乳食期の子どもを抱えるママ・パパの悩みを解決するサービスとして、子どもの食で悩む親と専門家がつながるオンラインルーム「childish」を提供。親が子どもの食に楽しみながら向き合える社会の創造に向けて活動しています。

「世界中の誰もが食で思いやりを届け、感じられる考え方と環境を」をビジョンに掲げ、離乳食期の子どもを抱えるママ・パパの悩みを解決するサービスとして、子どもの食で悩む親と専門家がつながるオンラインルーム「childish」を提供。親が子どもの食に楽しみながら向き合える社会の創造に向けて活動しています

最後に小村さんは「どのプロジェクトもやってみないとわからないのが本音です。しかし、解像度を高めて問題を具体化して、それぞれの課題にしっかり寄り添うことが大切です。」と述べました。

「自分達が考える社会問題の提示、それを解決するために考えた自分たちの手立て。そして、本当に解決できるの?という疑問に対して、なぜなら〜と理由を丁寧に答えられると説得力のあるプレゼンテーションになります。」

小村さんからプレゼンテーションの作り方のコツも伝授され、はじめてのPitch セッションを終えました。

未来社会を創造する地域女性リーダーと起業家マインド~JWLI BOOTCAMP2022大阪の学びから~

最後のセッションでは「JWLI Bootcamp」に参加した女性3名が登壇し、違う背景を持つ彼女たちが社会課題と向き合う中で出会ってきた壁やBootcampで学んだ ”起業家的思考” について語りました。

「JWLI Bootcamp」は大阪市男女いきいき財団とフィッシュファミリー財団 (本部:米国ボストン) が共催する、社会課題解決に取り組む女性を対象にした合宿型リーダーシップ研修です。

JWLI Bootcamp:https://jwlibootcamp.org/bootcamp2022/
大阪市男女いきいき財団:https://danjo.osaka.jp/odiz/jigyo/index.html

登壇者
大坪 さやか 氏
= 株式会社ルーアンライト 代表取締役
原 繭子 氏
= 日本公認会計士協会 近畿会幹事 SDGs・ESG専門委員会委員長|公認会計士
大和 陽子 氏
= こどもサポートステーション・たねとしずく 代表

モデレーター
岸上 真巳 氏 (きしがみ まみ)
= 大阪市男女いきいき財団 企画調整課リーダー|クレオ大阪子育て館館長|JWLIボストン研修2016年フェロー

JWLI Bootcampとは?

はじめに岸上さんからJWLI Bootcampについての説明がありました。JWLI Bootcampは、アメリカ・ボストンで開催されている女性リーダー研修を日本の地方での活動に向けて実施しようとしているものです。

ボストンでは4週間で行われるプログラムを3日間に凝縮した日本でのBootcamp。そこでの3つの特徴が紹介されました。

● Open・Positive・Inclusiveのマインド

● 対話を重視し、Speak Outする実践的な学びの場

● ネットワークを作る過程では、自分も発信して学びを得る

日本の女性リーダーが抱える「堅実/一歩を踏み出せない、謙虚/自信のなさ」という悩みの解決にアメリカのプログラムが活用できると考えられています。

失敗はいいこと

今回登壇した3名にBootcampでの気づきを聞きました。

大坪さんは、リーダーシップを取る心構えができたと話しました。「失敗を恐れずにチャレンジする、失敗してもいいというセッションが印象的でした。過去の経験でも失敗だったと思っていたことも成功だったのかなと、学びとして受け止めて、次へ活かしてチャレンジできるようになりました。」

Bootcampの大きな学びの一つに「失敗はいいこと (failure is good) 」があり、失敗の経験から学ぶことが大切なフィロソフィであると説明されました。

失敗についてオープンに話す中での気づきについて、原さんは「失敗に対して批判を受けてしまうのではないかというのが、失敗をネガティブにさせているのだと思います。でもセッションでは、前向きにチャレンジした上での失敗だったらオープンに人に話していいという気づきを得られました。」と述べました。

全力で応援する

Bootcampでは場を盛り上げて全力で応援する雰囲気だそうです。その雰囲気について、感想を聞きました。

「最初から最後まで皆が励まし合うというのが、すごく大きい経験でした。」と大坪さんは言います。個人の人生経験を尊重してライフストーリーを讃えあう時間に、とても励まされたそうです。

大和さんは、失敗を成功と捉え直せたことが大きかったそうです。「私ができないから失敗を繰り返すと思っていましたが、私ってチャレンジ精神がすごくあるんだなと、他の人が私を客観的に見て励ましてくれたことがすごく力になりました。」

支援の現場にいる大和さんは、活動で抱える葛藤を踏まえて「人を励まして良いんだと気づけたことにも勇気づけられて[2] 、自信に繋がりました。」と、Bootcampでのセッションが自身の活動に直結したことを話してくれました。

アメリカンな雰囲気

何でもフラットに言い合えるアメリカ式の雰囲気について感想を聞きました。

原さんは「私は思っていることを言えないタイプなんですが、ズバズバ言うアメリカ式のコミュニケーションに触れて、言うべきことは言ってフラットな関係でいて良いんだと知りました。」と述べました。

大坪さんは、失敗してもいいという安心できる場がないなら、自分でそういうコミュニティを作ればいいと思うようになったそうです。「ひとりでも失敗を許容できる人を増やしていきたいと思えるようになりました。」と話しました。

Pitchで参加した学生の柳さんから「自分や周りの人の失敗を批判するのではなく、失敗してもいいんだとポジティブに捉えられる人が増えていったら良いなと思います。」という感想がありました。

3名の登壇者からJWLI Bootcampでの学びや気づきが共有され、失敗の捉え方についてや起業家的思考についての学びを深めることができ、今回の最後のセッションも終了を迎えました。

最後に

アフリカで異文化理解と同時に行う事業開発の難しさ、学生による5つのピッチから感じる新しい挑戦の楽しさ、そして、女性リーダーの悩みを解決するアメリカの研修プログラム実践者の声を聞けた3回目のOIC CONNÉCT。次回は12月17日 (土) を予定しています。どのような学びと繋がりが生まれるのか。皆様のご参加をお待ちしています。

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