【開催レポート】OIC CONNÉCT #05

多様な人が交流し、学びの機会を創出するプログラムとして立命館学園とVenture Café Tokyo(ベンチャーカフェ)が主催する「OIC CONNÉCT(オーアイシー コネクト)」の5回目が、2023年1月14日(土)に立命館大学 大阪いばらきキャンパスにて開催されました。

OIC CONNÉCT #05

OIC CONNÉCTは、毎月1回、立命館大学 大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市、通称OIC)にて開催されるイベントです。参加者はイノベーター達による講演やワークショップ等を通じて、学びながらネットワークを広げられます。

第5回となる今回は、以下の3つのセッションが行われました。

・外国人が日本国内で起業するハードルを乗り越えるためには

・アントレプレナー教育の現在と今後の進むべき方向性 ~もしもこのメンバーで新しい学校を作るなら??~

・みんなでフェムテック&メンテックについて語ろう

さまざまな社会課題への取り組みや考え方に触れ、参加者それぞれの学びを深められる場となりました。

オープニングでは、OIC CONNÉCTやVenture Café Tokyoの世界観、参加者がお互いに安心して楽しむためのコツや簡単なコミュニティ・クレドの話があり、セッションに移りました。

外国人が日本国内で起業するハードルを乗り越えるためには

外国人が日本で起業するためには多くのハードルがあります。さまざまな困難をどのように乗り越えて日本で起業し、どのような支援を経て資金調達まで至ったのかというストーリーを外国人起業家と支援者の双方から伺いました。

登壇者
・関 兵馬 氏(Hyoma SEKI)
= 栖峰(せいほう)投資ワークス株式会社 代表取締役

・京田 ジョセフ 氏(Joseph KYODA)
= オムニリンクス株式会社 CEO

・喬 恒越 氏(Hengyue QIAO)
= ファンフォ 株式会社 CEO

・ファリッド・ベン・アモール 氏 (Farid Ben Amor)
= XORBI創業者

モデレーター
・畠 麻理奈 氏(Marina HATA)
= 立命館大学国際関係学部2回生

外国人のスタートアップに向けたビザ

はじめに、外国人が日本で起業する際に必要なビザについて、ジョセフさんに聞きました。

「JETROを含めて関西エリアで強く支援しているスタートアップビザという、新しい制度のビザがあります。従来の経営管理ビザは資本金額や従業員数の条件など、取得のハードルが高く設定されていますが、スタートアップビザは急成長を狙うスタートアップに大切なスピードを重視して、行政のサポートを受けながら、スピード感をもって進められるのが特徴です。」

日本で活動することになったきっかけ

自国ではなく日本で起業しようとしたきっかけは?と聞かれると、喬さんは「立命館大学に留学していて、アントレプレナーシップ教育を受ける中で、3年生の時に仲間と活動を始めたのがきっかけでした。」と仲間との出会いがきっかけになったと話しました。

支援する側のジョセフさんは、アメリカから帰国するタイミングで京都での外国人のアントレプレナーシップの支援について誘われたのがきっかけだったそうです。

関さんは投資でスタートアップを支援しています。「マイノリティーの人が何かを起こさないとスタートアップのエコシステムが回らないと考えています。そういうことが支援できるとベンチャーキャピタルとしての機能が成り立つのではないかと思っています。」

日本で起業する意味や魅力

日本で起業する魅力についてファリッドさんは「メタバースの世界を生み出した任天堂のある京都は、創造性を掻き立てる場所だと思い、その京都で起業したかったんです。僕だけでなく、たくさんのアメリカ人は京都に惹かれています。」と述べました。

喬さんは留学当初は大学を卒業したら就職すると思っていたそうです。「仲間と起業することになって、今を感じられる日本でやろうと思いました。中国に帰っても留学している間に社会は変わっているから、ゼロからのスタートになってしまうと思ったんです。」

ジョセフさんは支援者の立場から「日本人では気づかないところに気づいてソリューションを持ち出したり、イノベーションを起こしたり、国際的な感覚を融合できればとても良い環境だと思います。今は行政のサポートも厚いので、海外で頑張るスタートアップにも日本のサポートを生かしてもらいたいです。」と日本をアピールしました。

関さんは「日本は治安も良くて貧富の差が少なく、過ごしやすい国です。格差を利用するような成功ではなく、日本ならではのスタートアップエコシステムができればと思います。」と平和的な発展に期待を寄せました。

マイノリティーベンチャーの成功率は高い?

マイノリティーベンチャーの成功率が高い、という関さんに対して参加者から「外国人のどういった点が成功に繋がりやすいのでしょうか?それを身につけるにはどんな視点が必要なのでしょうか?」という質問が上がりました。

関さんは「マイノリティの成功率が高いのではなく、成功している会社にマイノリティが多い、という話です。スタートアップするならアグレッシブなことが必要条件だと思います。留学している国、つまり外国で会社を起こすのは自国でやる以上に大変です。それを乗り越えるくらいの行動力があり、勉強もして、ネットワークも作ろうとする時点で起業家予備軍の中では抜きん出ている状態ではないでしょうか。結果として、そのプロセスを超えてきた人たちは優秀なのだと思います。」と投資する立場からの見解を話しました。

他にも留学生の参加者からビザ取得に関する質問や、海外にいながらスタートアップビザを取得することについて質問があり、積極的な意見交換が行われました。

最後に、支援者である関さんとジョセフさんから起業を目指す若者へのアドバイス、喬さんとファリッドさんからはスタートアップとしての今後の展望を聞き、セッションを終えました。

アントレプレナー教育の現在と今後の進むべき方向性 ~もしもこのメンバーで新しい学校を作るなら??~

小学校から大学までのアントレプレナー教育の現在と今後の進むべき方向について、最前線でアントレプレナー教育を行う3名が語り合うセッション。「この3人で新しい学校を作るなら??」という具体的な問いに対して、現状を交えながら理想を追求しました。

登壇者
・中山 諒一郎 氏(Ryoichiro NAKAYAMA)
= 学校法人 昭和学院 法人事務局局長補佐(ブランディングマネージャー) | 昭和学院中学高等学校 カリキュラム・マネジメントPT座長 | 探究科主任(兼起業ゼミ担当) | 一般社団法人ゼロイチ 代表理事

  • 正頭 英和 氏(Hidekazu SHOTO)
    = 立命館小学校 主幹教諭
  • 小村 隆祐 氏(Ryusuke KOMURA)
    = Venture Café Tokyo プログラム ディレクター

アントレプレナーシップ教育で大切にしていること

アントレプレナーシップ教育で大切にしていることを問われると、三足の草鞋を履く高校教師である中山さんは「目的を見失わないことを心がけています。日本でのいろいろな取り組みを見ていると、起業家を育てることが目的なのか、起業させることが目的なのか、法人を作ることが目的なのかが混在していると思います。その中でも私は、アントレプレナーシップを育むことが起業家教育の一番大切なことだと考えているので、それを見失わないようにしています。」と想いを語りました。

世界の優秀な教員10人に選ばれた小学校教諭でアントレプレナーシップ教育を推進している正頭さんは「アントレプレナーシップの定義はフワッとしているけれど、私はそれでいいと思っています。」と話します。「子供を相手にしているので具体的なビジネスの話ではなく、小学生だからこそできるエゴイスティックな面があっていいんじゃないかな。大学生のように社会問題から課題を見つけるのではなく、自分から「やりたい」と言い出す、シンプルな動機に付き合っていきたいです。」

アントレプレナーシップ教育を語る

起業家であり起業家を支援する活動をしている、小村さんならではのアントレプレナーシップ教育への考えを聞きました。

「アントレプレナーシップ教育はBeing=在り方で、スタートアップ教育はDoing=方法論なので、切り離して考える必要があります。アントレプレナーシップ教育は不確実性の中でどう進んでいくかという、自分自身の在り方=Beingをアップデートするための教育だと考えています。自分で答えを探していく姿勢を育てるものと言えます。」

「アントレプレナーシップの概念が広く浸透していって、不確実性の高い状況において自分で考えていくことが当たり前の世の中になればいいと思います。」と自身の考えを述べました。

具体的にはどういう状態なのですか?と正頭さんから質問が入りました。「どういう状態を目指すか、ということだと思います。アメリカのバブソン大学ではアントレプレナーシップを定義づけていないので、マインドセットではなく方法論として教えています。」と、小村さんはバブソン大学で教えているアントレプレナーシップの考え方について説明しました。

起業家に適正はあるのか

正頭さんは小村さんへ、起業家に適正はあるんでしょうか?と問いました。

小村さんは「適正があるかどうかはわからない、というのが正直なところです。起業に対するリスクを感じさせるのは不確実性なんです。バブソン大学では、Affordable Loss=許容範囲の損失といって、どこまでのリスクなら負えるかと考えます。適正というよりもリスクの取り方を教えて、不確実なことに対する在り方を高めていこうとしています。」と説明しました。

アントレプレナーシップ教育を進める現場での課題

中山さんは現場での現状を踏まえて「アントレプレナーシップ教育の目的やゴールが共有されていないなど、同じビジョンを描けないまま進んでしまいがち、というのが大きな課題だと感じています。」と話しました。

「お金の価値観だと思います。」と正頭さん。「お金に向き合う教育が何となくタブー視されているのが起業という選択肢よりも、どこかの企業に就職して働くという選択を促しているように感じます。」と意見を述べました。

それに対して小村さんは「最近はWell Beingのマインドが広がって、どう幸せになっていくかという価値観に変わってきていると感じています。それと今の教育には歴史的な背景があることも考える必要があると思います。」と話しました。

3人のアントレプレナーシップ教育に対する想いや多角的な視点での熱い意見交換が繰り広げられ、スペシャルセッションを終えました。

みんなでフェムテック&メンテックについて語ろう

新しいマーケットの一つとして注目されているフェムテック。フェムテックとはFemel (女性) とTechnology (テクノロジー) を掛け合わせた造語で、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決できる分野を指します。同様に注目が高まりつつあるのがメンテック。日本でも広がりを見せるフェムテックとメンテックをビジネスにどのように取り入れ活用できるのか、お話いただきました。

登壇者
・岡下 真弓 氏(Mayumi OKASHITA)
= 美養憧 代表

・依田 所花 氏(Johana YODA)
= 同志社大学 国際教育インスティチュート 4回生

モデレーター
・後藤 友美 氏(Tomomi GOTO)
= 株式会社SUSTAINABLEME CEO、FeMind創設者

フェムテックコーディネーターの仕事

はじめに更年期や女性活躍をサポートするモデレーターの後藤さんから「フェムテック」と「メンテック」についての説明がありました。続いて、薬剤師であり、フェムテックとして企業や一般の方向けのサポートを続けるフェムテックコーディネーターの岡下さんに、具体的な活動について聞きました。

「女性の健康にまつわる活動を続ける中で、企業からアドバイスを求められるようになりました。医師のような立場ではなく、生活者に寄り添った知識を伝えたり、企業の商品開発の相談を受けたりしています。」患者さんと接する機会が多い薬剤師だからこそ、多くの人が抱えている問題をヒアリングできることが自身の強みだそうです。

そのヒアリング力をどのように企業活動に活かせているのか、という点について岡下さんは「企業の健康経営において、女性と男性それぞれの健康課題を話し、双方に気づきを与えて理解を深められることで組織が良くなっていくお手伝いをしています。」と説明しました。

大学生がフェムテックに着目した理由

ジェンダーに関する興味から卒業論文にフェムテックを選んだ依田さん。大学生の立場でフェムテックに着目した理由は何でしょうか。

「フェムテックという言葉を知ったのは、就職活動中に当事者意識を持ってジェンダーに関する何かを探している時でした。フェムテックを卒論のテーマに選んだのは、勢いがあってこれから社会を変えていくだろう、と考えたからです。」ときっかけと理由を話してくれました。

「大学生の間ではフェムテックはまだまだ浸透していないと感じます。卒論のテーマがフェムテックだと話すと、知らない人が多いので広めていく必要性があると思います。」

「フェムテック」という言葉の現状

モデレーターの後藤さんから、フェムテックという言葉は知らないけれど、例えば月経に関する商品は知っているなど「フェムテック」と「フェムケア」が混同されているのでは、という意見がありました。

それに対し「日本は心のケアが重視される傾向にあると思います。なので日本では、海外から入ってきたフェムテックよりもフェムケアの商品が多いですし、生活者にも受け入れられやすいのではないでしょうか。」と岡下さん。

後藤さんは「フェムテックという言葉だけが一人歩きしていて、それが男性陣の理解を遠ざけているような気がしています。」と話します。フェムテックという言葉を使うと、男性からは女性ばかり権利を主張しているように受け取られる場面があるそうです。

フェムテックという言葉と現場でのギャップを岡下さんに問いました。「相談を受ける企業の中には、フェムテックが流行っているからやりたい、フェムテックに乗った商品や事業を作りたいと話されることがあり、逆じゃないかなと思うこともあります。」

フェムテック、メンテックの今後

後藤さんは相互理解だと主張します。「男性女性それぞれの健康課題を知ることで相手に対してできることを考えられるようになると思います。」

岡下さんは「体の不調を人には言わない風潮でしたが、フェムテックやメンテックを機に不調を人に伝えてもいいという雰囲気になっていけば、と思います。」と期待を込めました。

フェムテックの認知が高くない大学生にとってはメンテックは「まず男性の健康課題って何だろう?」から始まる、と依田さんは言います。

「人に言いにくい不調がある、ということをまず知ることが大切だと思います。」と岡下さん。続けて、活動の現場で男性が女性の不調の原因を知ってコミュニケーションが円滑になったエピソードを聞かせてくれました。

お互いを理解しようとすることが自分を大切にするきっかけにもなる、という3名それぞれの主張と熱い意見交換がなされ、最後のセッションの終わりを迎えました。

最後に

外国籍の方が日本で起業し、どのような支援を経て資金調達をするのかを共有し、小学校から大学までの新しいアントレプレナーシップについてを議論し、フェムテック・メンテックについても語り合った5回目のOIC CONNÉCT。次回は2月3日 (金) を予定しています。どのような学びと繋がりが生まれるのか。皆様のご参加をお待ちしています。

詳細&Sign-up:https://oic-connect-6.peatix.com/view

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Innovation Community Builder in Tokyo.

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